”文学少女”シリーズの本編読了

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

”文学少女”と飢え渇く幽霊 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と繋がれた愚者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と穢名の天使 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

“文学少女”と月花を孕く水妖 (ファミ通文庫)

(もう、あまりはまぞうは使いたくないのだけれど・・・便利だから・・・)

兄弟に借りて読んでみた。以前から面白いという話は聞いていたのだけど、野村美月さんは卓球シリーズでやや苦手意識があって敬遠してたのだ。

実際読み出したら止まらなくなって、1巻は電車で読んでいたのだけど電車降りてから自転車置き場までずっと読んでた。こんなことは初めてだった。

それが金曜で日曜中に8巻まで読み終わった。日に数冊ペースとか久々だった。高校以来かな?あまり急いで読むと楽しみがなくなっちゃうとかそういう感覚はまったくなかった。


まず表紙の少女ではなく、少年の一人称視点であることに驚いた。
遠子先輩と心葉のやりとりがくすぐったくて、読んでる側からしたら遠子先輩と一緒にいないときのほうが違和感が強かった。
文学少女が探偵バリに事件解決していくものかとも思ったけれど、そうでもなくてよかったかな。よくある登場人物回収と物語のため。

正直1〜3巻は何回美羽の台詞をリフレインするんだってちょっと思ったり。
でも心葉と再開するのはななせとなんとなくいい感じになってからかなって思ってそれは当たってニヤリとしたり。

野村美月さんの著書には必ずあるゴシック体表現が今作は効果的に出てたと思う。毎巻複線のチラ見せなのだけれど、それが物語の人物の今や過去にとれたり、なぞらえた本に取れたりするのだ。ある意味どうとでも取れるというのは想像の羽が大いに膨らんで「それで?それで?」という感じになった大きな要因になった。


水妖で遠子先輩は紙を食べる妖怪だから卒業と同時に消えちゃうんじゃないかと思ったけれど、幼少時代が出てきてかなり安心した。

物語としてはどうなろうと最終的には井上ミウは必ずもう一度筆を取るというのは決まっているとして、8巻前半くらいまではななせとくっつくんじゃないかと思ってた。よくある葛藤みたいなものが違ったように思えたし。7巻の終わりからも。
ほんとエピローグでやられたなー。

流人についてはもちろんあるのだろうけど、物語を進めるための配置という感じがかなりした。そのとき必要な人を、必要なだけ集められるというのはかなり都合がよかっただろうな。
あと姫倉先輩も同じだね。必要な情報が必要最小限与えられる。この辺が推理モノとの違いかな?


最後に読んだのが最終巻ということもあって。
ラストへの駆け抜けかたは素晴らしかった。読んでいる最中も読み終わった今もすごく気分がいい。
(遠子先輩の両親の最期の話で思考がダークサイドに行きかけたけどそれは自分のせいだし)

ななせとはどうなるのか、遠子先輩はどうなるのか。ハラハラしてたまらなかった。小説は書きたくないし、ななせのことを好きになりかけているのを自覚してそれを大事にしたいと思う心葉。でも自分の中の遠子先輩が占める大きさに気づいてやっぱり遠子先輩のほうに行ってしまう当たりなんとも言えなかった。

最後は「小説を書く→遠子先輩」「小説を書かない→ななせ」だったよね。

7巻で流人からヘラヘラが消えて怖くなったのも、本気で遠子姉のためだっていうのがわかったからそこまでじゃなかった。いかに遠子先輩が家で弟相手に「今日、心葉くんがね〜」って話をしてたのか想像したり。
周りを省みず損得抜きに姉妹のためにがむしゃらに動く兄弟っていうのはホントいいなー。ななせ狙ったときはかなりハラハラしたけど。俺の嫁狙うなし。

高校くらいから泣いたり殴ったり感情が大きく動くような性格じゃなくなってたから、こんな話をきいてもう一度学生やりなおしたいなーと素直に思ってしまった。
いつもの高校からやりなおしたいって感じじゃなくて。


こんなに一気に読んでしまったのは、話自体の面白さもさることながら、会話のテンポも良かったのだと思う。読ませるパワーがほんとにすごかった。